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re-union

あちこちのブログ、HPに書きちらかしたエントリを一本化。

松田優作 SOULRED

 松田優作の40年間の生涯にくらべ、これまでのオレの人生のなんと薄っぺらかったことよ…。

 本ドキュメンタリー・フィルムが制作されたのは、優作が逝去して20年目の2009年。

 ということは、その時点で10代から下の人間はナマの優作をまったく体験していなかったことになる。

 でもそれがほとんど問題にならないのは当然のこと。松田優作といえば誰もがフィルムの中に残る彼の姿を思い出すのだから。

 本作でも数々の作品のシーンが挿入される。遊戯シリーズ三部作や角川映画「蘇る金狼」などアクションスターとして売った時期、転機となった80年代初頭の「家族ゲーム」、さまざまな役を経験した後、死の直前、オーディションで見事に射止めた「ブラック・レイン」の殺し屋役…久しぶりに拝む優作のご真影の数々だ。

 あまりにもモノマネされすぎた「太陽にほえろ!」のジーパン刑事、黒づくめのスーツでベスパに乗った姿が印象的な「探偵物語」など、TVでもキャリアを重ねています。

 このTV「探偵物語」が企画されたとき、優作は主人公の探偵をクールなヒーローではなく、三の線(三枚目)に造型することを提案したという。「そうじゃなきゃTVではウケないよ」と。

 当時からTVと映画の違いを知り尽くし、独自の戦略論を持っていたのだと思わせるエピソードです。

 その後の「野獣死すべし」も、彼自身が監督をつとめた「ア・ホーマンス」も、通常のアクション・ハードボイルドとは少し毛並みの違う作品でした。単なる活劇で終わらせたくないという彼の主張が見え隠れします。

 生前の松田優作を語るのはブラックレインで共演したアンディ・ガルシアや、やはり近頃急逝してしまった森田芳光監督。浅野忠信香川照之など、活躍した時期から考えるとあまり優作とは接点のなさそうな役者たちも彼にリスペクトを寄せています。後世に大きな影響力を残してるんですね。

 生きていたらいまごろどんな役柄を見せてくれていたのでしょうか、などと考えてもしょうがないことをつい夢想してしまいます。ちなみに「SOUL RED」が公開された2009年は、松田優作が60歳を迎えるはずの年でもあったそうです。