re-union

あちこちのブログ、HPに書きちらかしたエントリを一本化。

『ジョーズ・アパートメント』

 人の言葉を理解し会話もできてしまうゴキブリたちと主人公が友情を築いていくトンデモ的作品。毒々しい色使い、安っぽい笑いのセンスがいかにもキッチュです。

 以前、深夜に放映されていたのを何げなく見始めたら妙にツボにはまってしまい、ついに中古屋でビデオを購入までしてしまいました。珍品中の珍品かと思ったが、製作はMTVだし夕張映画祭でグランプリもとっているらしいので、意外と知る人ぞ知る一部で有名な作品なのかも。

 ニューヨークの治安の悪さ、生活レベルの低さをドライなギャグの連発でテンポよく笑い飛ばし、ゴキブリたちの超バカバカしいミュージカルも思わず失笑。ゴキブリの喋りを日用品を動かして表現してみせるアイデアもグッド。

 若いころ、ボロアパートの散らかり放題の一室で、明け方までダラダラとこんなビデオばかり見てたのを思い出します。バブルの余韻がまだ残っていた時代には、各局とも夜中にこんなうさん臭い珍品を流していたのでした。

 80年代半ばといえばSFXを駆使したスプラッター映画の一大ブームがありましたが、本作はそのブームが一段落した時期に、それをひとひねりして生まれたような作品のような気がします。ゴキブリがぞろぞろ出てくるところはオムニバス・ホラー「クリープ・ショー」の中の一話みたいだし、ストーリーはどことなく「リトルショップ・オブ・ホラーズ」をほうふつとさせます。

 まさに深夜のTVでMTVの合い間などに見るにはうってつけの作品です。逆にいえばこれは豪華な劇場には似合わない。とくにでかいスクリーンでゴキブリの顔の超どアップは見たくない。ヤツらの触覚、脚の一本一本、羽根、動きのディテールも細部にわたり表現されて身の毛がよだちます。

 ラスト、主人公のジョーとゴキブリたちが住むアパートメントは焼け落ち、あとには公園ができる。何か、その後の9.11を予兆している気がしないでもない…って大げさか。