『GANTZ』
タイトルからもバレバレですが、この作品(原作コミック)は、
かつての特撮ドラマ「がんばれロボコン」からアイデアを頂戴しています。
「ロボコン」ではガンツ先生というロボットが、毎回物語の最後に生徒のロボコンやロビンちゃんたちを採点していました。
この映画では謎の黒い球体GANTZの発するどこかマヌケな指令のまま二宮和也、松山ケンイチたちが宇宙人と闘い、
その結果がGANTZによって評価されます。かなり公平性が疑問視される採点です。
なんだかよくわからないままバトルフィールドへ送り込まれる二宮・松山たち。
ひとけのない夜更けの通り。闇に浮かぶ街灯の光がミョーに昭和っぽいです。最近は節電が叫ばれている風潮とはいえ、これは暗すぎです。
この闇は、僕が子どものころに見てた特撮ドラマを思い出させます。
まだ人気がそれほどではなかった初期の仮面ライダーあたりはこんなテイストだったんじゃないでしょうか。
登場する異星人のチープさも、あの頃のショッカーの怪人のようです。
異星人の何とも言えない珍妙さと、壮絶な血まみれの死闘が妙にアンバランスで逆にブキミです。
次は何が出てくるかわからない恐怖、悪夢のような不条理といってもいいでしょう。人っこ一人いない夜の街角というのも、どこか夢の中の風景みたいです。
前後の事情も定かでないまま、ワケのわかんないミッションを押しつけられる主人公たち。
これはもしかすると日雇い派遣労働のメタファーかもしれません。
見も知らぬ初対面同士が集められ、意味の感じられない仕事をともかく遂行する。人が足りなくなればあとからいくらでも補充される。
長くやっててすっかり仕事に慣れたやつは、私服の下に制服(モビルスーツ)を着こんでたりする。
昭和の特撮の世界を、うまく現代の世相に落とし込んでいまの若者の心もつかんでます。
二宮や松山の過去や、しだいにゴーマンになっていく二宮と優しさを捨てきれない松山の対比がストーリーに厚みをもたせ、
戦いの中で二人と夏菜のあいだの不等辺三角関係も描かれる。二宮は夏菜が好きで、でも夏菜は松山と…みたいな感じで。
松山と夏菜が夕暮れの川沿いで語り合うシーン、遠くのマンションビルに明かりがひとつもついてないのが印象的です。人工的な光のないたそがれどきの風景が、やはり昭和チックです。
悲劇的なエンディングからストーリーはパート2へと続いてゆく。
続編の「PERFECT ANSWER」も見たけど、謎のつじつま合わせがメインになってて、個人的には1作目のほうがよかったかな。
ブレードランナー風のテーマ音楽もグッドです。