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一寸の虫にも… しくじり先生が教師生命をかけた!

 数日前の深夜、スカパー!チャンネルNECOで、2012年にネット配信で公開されたドラマ『悪の教典―序章―』を放映していた。

 表面上は人格者に見える教師が学校の支配者となっていくサイコサスペンス。原作は第1回山田風太郎賞を受賞したほか直木賞吉川英治新人賞、本屋大賞などにノミネートされた貴志祐介の長編小説で同時期に映画化されている。  ネット配信のドラマは映画版の前日譚にあたる部分。映画もドラマも三池崇史が監督し、主人公のエリートサラリーマン上がりの中学教師を伊藤英明が演じるほか、ドラマ版では中越典子岩松了などが共演している。

 この物語、人間的にどうかと思うような先生たちのオンパレードなのだが、なかでも吹越満演じる教師の陰湿さはダントツだ。性格のせいか同僚教師たちからは敬遠され、生徒にもバカにされているようだ。

 ドラマを見ているうちに、自分の中学時代のある先生を思い出した。

 その先生、吹越が演じた教師のような根暗キャラとはちがうのだが、どうも性格的に人にものを教えることに向いてない感じの人だった。

 とにかく「あの先生の授業はよくわからない」というのが生徒のあいだで定評になっていて、僕自身は代行でその先生が来た2,3回しか直接教わったことはなかったが、やっぱりウワサどおりの、う~~んと首をかしげてしまうような授業だった。

 その先生自身、自分の教え方に自信がないらしく、授業を進めながら途中何度も生徒たちに「わかる? わかる?」と問いかけるのだが、そのたびにいっせいに「わかんないよ~」と大ブーイングを受け意気消沈していた。いい人なんだけど性格的にナイーブだったのだろう。とにかく生徒たちからは完全にナメられてる感じで、いまでいえばスクールカースト最下位、みたいな先生だった。

 さて中3になり進路を決めるシーズンがきて、三者面談だのなんだの周囲があわただしい雰囲気になってきたころ、ひょんなウワサが耳に入ってきた。

 例の小心先生が、担任クラスの生徒たちの自分に対する日頃の態度に、堪忍袋の緒が切れてついに爆発してしまい、生徒たちに向かって「お前らの内申書は最低の評価にしてやる!」とかなんとか暴言を吐いたらしい。

 そのことがPTAでも問題となり、教師にあるまじき態度ということでその先生は翌年だか教職を辞め、その後は実家で農業を手伝っているという話をきいた。

 たしかに中学生のガキ相手にマジ切れし、権威をタテに脅しをかけるなんて教育者としては失格かもしれない。そのときは先生の方に非があるという結論で終わってしまったわけだが、いま考えると当時のPTAに代表される世間の目が必ずしも正しかったとはいえない気がする。

 いくら教え方が下手だからといって人間的にバカにして見下しちゃまずいだろう。相手をナメてかかっていると手ひどいしっぺ返しを食らうこともあるのだ。

 暴言を受けた生徒たちはあのとき、勉強なんかよりもっと重要なことを教わったのかもしれない。

 けして教え方がうまいとは言えない先生だったが、最後に体を張って教訓を伝えたのだ。おとなしく見える人でも内心どう感じているかは分からない。甘く見たらあかんぜよと。

 むかしのことわざで言うなら一寸の虫にも五分の魂。暖かい季節になっていろんな虫が出てきますが、個人的にはなかなか殺せません。