あれから35年、大きく書きかえられた沿線地図
このところ、夜の仕事を終えて家に帰りTVをつけると、スカパーの「TBSチャンネル2」でドラマ『沿線地図』の再放送をよくやっている。
山田太一原作脚本の名作としてほとんど説明不要だろうが、実際に見たことがあるという人は(とくに若い人は)少ないんじゃないだろうか。なんせ1979年放映だもの。そういう僕も今回初めて見たけど。
高校生カップルが同棲を始めたことにより双方の両親が知り合い、微妙な関係が生まれてゆく。
一方はエリート銀行員夫婦、もう一方は庶民的な街の電気屋さんを営む夫婦。
たがいの暮らしぶりの違い、親世代と子世代の考え方の違い、男と女の違い・・・山田太一の脚本はていねいな科白でその差異を浮かび上がらせてゆく。
登場人物が自分の人生観を、生きざまを告白し、立場の違いを明確にしてゆく。推測で語っちゃうけど、こんなドラマはそれまでなかったんじゃないだろうか。
個人的には随所に映る当時の街の風景もまた興味深かった。
オープニングの空撮映像は多摩川・自由ヶ丘周辺だろう。
東急東横線自由ヶ丘といったら別名オカジュウ、僕なんかにはハイソな憧れの地だが、このドラマ当時の風景はうちの地元とそれほど大差ない(笑)。あのころ東京郊外は地方のたたずまいだった。
それから時代はバブルの80年代を迎え、人も街も大きく変貌した。このドラマでは深刻に語られていた大問題が、いまではそれほど珍しくない日常の出来事だ。
過去をなつかしむというより時代の変わりようにガク然とすることが多いよね、ほんと。