大枚はたいたステレオがサウナの安っぽいBGMに負けた。
1. ウン万円でステレオを買ってみたけど期待してたわりに音がイマイチ。
もちろんウン十万じゃなくウン万だ。その程度のステレオなんてオーディオの世界じゃゴミ同然。で、多少自由なお金を持っていたりすると魔のオーディオ地獄へひきずりこまれてしまうわけだけど。
以前CDショップで未知のアーティストの曲を試聴機で聴いて「ええ音やわ~」と感動、買ってきて家で聞いたら音がぜんぜんショボくて、同じ音源でも再生機でこんなにもちがうのかとガク然としたことがよくあった。
だけどこれって機械のせいばかりじゃなく、聴いてる当方の(精神的な)コンディションの良し悪しでも大きく左右されるのかもしれない。
2. いま通っているジムのサウナ室ではBGMを流している。日によってロックやR&Bやダンス系やいろんなジャンルがかかってる(なぜか邦楽はない)。
思いきり身体を動かしたあとサウナに入り、もうもうとたちこめる熱気の中、なかば放心状態でボーっとしていると、それらのBGMが妙にまっすぐ心の奥底まで沁みいってくる。
正直チャチい音なのに、いままで何の気なしに聴いてた曲がとてもいい曲に感じられたり、ふだんあまり聞かないようなジャンルの音楽に「意外に悪くないな」などと思ってしまったり。
反面、自宅で音楽聴いてるときって、読んだり書いたり食事したり、たいてい何かしながらなので聞き流し状態になってしまい、どんな名曲でも右の耳から左の耳へ筒抜けてしまう。アルバム1枚とおして聴いても何の印象も残ってないなんてことがよくある。
いかに雑念を捨てていま流れてる音楽に集中できるかってことが大切なようだ。
3. で、いまちょっと気になってるのがグーグルやLINEが参入して話題になってる定額音楽聴き放題サービス。
もう、モノとしてのアナログ盤やCDは必要ない、その都度データを呼び出してくればいいってことで、音楽の聴き方を変えるだろうといわれてるが、
どうなんだろ、際限なく聴き流し状態になってしまい、心に何も残らないなんてことにならないだろうか。ま、聴いてるあいだ心地よければいいのかもしれないけど。右から左へ抜けてしまっても。
4. 僕より少し上の年代の人たちは、アナログ盤を注意深く紙のジャケットから取り出し、盤面のホコリをブラシで拭い、そーっとターンテーブルにのせてレコード針のアームを降ろし、曲が始まるまでの一瞬の静寂に耳をそばだてたりしてたもんです。部屋なんかも暗くして、これから聴く音楽への集中力を高めていたのです。
ボタンひとつで再生も選曲もリピートも瞬時にできてしまうCD時代には失われてしまったこれらの儀式。当時は便利になったと喜んでたんだけど……
5. 精神論はあまり好きじゃないですが、やはり音楽とじっくり向き合う気持ちが大事なようです。そのための環境づくりも……。
ってことでもっといいステレオに買い替えるか(笑)。