「台風家族」
台風が首都圏を直撃した次の日に、映画「台風家族」を観る。「台風一過」と「台風家族」。ちょっとでき過ぎ。
ストーリーはあまり詳しくは書けないが、草彅剛を長男とした兄弟とその家族が、銀行強盗をはたらいたまま十年間行方をくらましている両親の葬式に集まって‥‥というもの。
前半は遺産争いを中心に話が進むが、話はとんでもない方向へ展開して‥‥
隠された家族の秘密もしだいに明かされていく。
ほぼ限定された場所で物語か進行する、ワンシチュエーション・ドラマというやつだろうか。
舞台は一つにしぼられたまま話が二転三転し、登場人物たちの関係もしだいに変わっていくところが醍醐味だ。
このタイプの傑作では「キサラギ」という作品もある。
カメラはほぼ据えっぱなしで長回しも多用、舞台演劇を観ているような感覚だ。
「台風家族」では失踪したままの両親について兄弟が語り合い、「キサラギ」ではもうこの世にいないアイドルについてファンたちが語りあう。
この形式も舞台の名作「ゴドーを待ちながら」を連想させますね。
さて、「台風家族」には例の物議をかもした俳優、新井浩文も出演していて、この作品を公開延期に追い込んだ張本人でもありますが、
準主役といってもいいメインの役どころで、最初から最後まで出ずっぱり。これでは簡単に撮り直しとか差し替えとはいかなかったでしょう。何はともあれ無事公開されてやれやれです。
あと草彅の娘役を演じた甲田まひるという若手女優さん、ちょっと病んでる感が山本直樹の描く女学生をまんま3次元化したみたいでした。
