blog-chronicle〈ブロニクル〉

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文芸誌? それとも音楽誌? 〜「パピルス」と「月カド」

久しぶりに新刊書店をのぞいたら、幻冬舎が出している「パピルス」が大幅にモデルチェンジしていたのでびっくりした。知らなかったのは僕だけでみなさんとっくにご存知だったのかもしれないが。

「ゆず」の二人を特集しているが、判型が普通の文芸誌サイズになり、表紙もずいぶん地味な感じになって、それまでと同じ雑誌とは思えないくらいだ。

パピルス」ってあまり中身を読んだことないのですが、ジャンル的には文芸誌でしたよね。にも関わらず毎号、有名アーティストや俳優を取り上げている。

これってその昔の「月刊カドカワ」と同じ路線だなと遅まきながら気がついた。

月刊カドカワ」は僕の記憶でははじめ純然たる文芸誌としてスタートしたものの、何かの折りにアーティストを取り上げたら売れ行きがよかったらしく、

その後は毎号「総力特集」と銘打って一組のアーティストに徹底的にこだわるスタイルになったようだ(ちがってたらすいません)。

活字が好きな層と、音楽が好きな層って微妙に重なるんでしょうか。どちらも表現という意味合いでは同じなのかも知れません。事実、僕が見た新刊書店では「パピルス」も、また「月カド」の後継者的存在である「別冊カドカワ」(特集は矢沢永吉)も音楽誌のコーナーに並んでました。

「純然たる文芸誌」時代の「月カド」は僕もよく知らないのですが、アーティスト総力特集の頃は毎月のように図書館で借りてました(買わなくて失礼)。

当時は1990年代。カラオケブームからJポップへ移行する時期だったでしょうか。厳密には違うかもしれませんが、僕が熱心に読んでたのはそのあたりです。

毎号、本人によるエッセイ風文章やカバーストーリー、ディスコグラフィー等でひとりのアーティストにあらゆる角度から迫り、とても充実した内容だったと思います。

ここから尾崎豊の一連の著作をはじめ、話題になったアーティスト本が次々に誕生しています。

アーティスト側にとっても「月カド」に取り上げられたということは創造性の高さを認められたも同然で、かなりのブランドアップにつながったようです。

当時、「月カド」の編集者として尾崎豊らの「文才」を発掘したのが、いまの幻冬舎社長見城徹氏。「パピルス」が「月カド」の流れをくんでいたとしても不思議ではありません。

まあ、僕が感じた「月カド」の功罪をひとつあげるとするなら

本来書くことはアマチュアといってもいいアーティストやミュージシャンに(文章力という意味ではありません)、プロ同等の執筆の場を与えたことで、その後のインターネット上における個人のホームページやブログの隆盛ともあいまって、文芸のアマチュアリズム化に拍車をかけたのではないかという点ではないかという気がします。アマチュアの身で、エラそうにすいません。

「総力特集」だけでなく、通常の連載ページもなかなか興味深い執筆陣を集めていた「月刊カドカワ」。古書店で全巻揃えたら90年代のJポップをはじめとしたサブカルチャー史の貴重な記録となるでしょう。幾らぐらいするんだろうなー。いや、集めないけど。一冊、また一冊と地道に探していくのも楽しいかもしれませんね。

パピルス」の話で始めたのに昔の「月カド」の思い出で終始してしまいました。ヤングの方にはすいません。

 

 

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