blog-chronicle〈ブロニクル〉

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怒涛の江戸川乱歩リスペクト・ごあいさつ

 去年から今年にかけては乱歩生誕120年、没後50年という節目の年。現役作家が競作した少年探偵団テーマの短編集も刊行されたりしている。その表紙は昔なつかしいポプラ社の少年探偵団シリーズのテイストだ。

 そう、謎と冒険がいっぱいの「少年探偵団」というコンテンツ、昭和の少年だったオヤジたちだけのものにしておくのはもったいないではないか。

 異常心理や耽美な世界の書き手として知られる乱歩は、あやしいイメージで語られがちな作家だ。でも少年探偵団ものや同じポプラ社から出ていた推理小説のガイド本などで乱歩に初めて触れた僕には、彼は不思議な話をたくさん知っている面白くて優しいおじさんというイメージだった。

 そして昨年が乱歩の没後50年だったと知って、「この人は僕が生まれたとき、入れかわるように世を去ったんだな」となんか感じるものもあった。

 ある機会があって乱歩についていろいろ書いたり、久しぶりに少年探偵団シリーズを数冊読み返したりしていた。

 再読してあらためて気づいたのは、子供向けだから当然かもしれないが、そのリーダビリティ、読みやすさだ。とくに地の文章は「ですます調」で書かれていることもあり、まるで近所に住むちょっと風変わりだけど子供好きなオッサンが、とっときのフシギばなしを表情たっぷりに披露してくれてるような趣きだ。

 だからどんな不気味なストーリーでも、子供たちは安心してその世界に夢中になることができる。夕暮れの公園、紙芝居屋のオヤジのまわりに集合して、その口上を身を乗り出して聞きいっているような感じだろうか。

 乱歩をテーマにしたいくつかの文章、書きかけのままお蔵入りになってしまいそうなので、せっかくだからこの場に上げることにしました。次回からしばらく乱歩関連の内容が続くかと思います。僕から乱歩へのリスペクトということで――—。

 

 

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