I.D.C.D.04 ビリー・ジョエル『ナイロン・カーテン』 -sio_note-
テーマ▶音楽
洋楽を本格的に聴き始めた高校時代以前にも、
もちろん海外のポップスを耳にする機会がまったくなかったわけではありません。
ビートルズの「イエスタディ」や「レット・イット・ビー」ぐらいは知ってましたし、
1978年に日本でも公開された映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のテーマ曲(byビージーズ)や、大旋風を巻き起こしたベイ・シティ・ローラーズなんかも、もちろん耳に入ってました。
ビリー・ジョエルも「素顔のままで」や「ストレンジャー」といったヒット曲はすでに知っていましたが、アルバム単位で聴きだしたのは今回紹介する『ナイロン・カーテン』(1982年)あたりからです。
初期のピアノの詩人のイメージから、しだいにロック色を強めたビリーは、このアルバムでは鋭く現実を見つめ、社会問題に一石を投じています。
【収録曲】
1. アレンタウン
2. ローラ
3. プレッシャー
4. グッドナイト・サイゴン~英雄達の鎮魂歌
5. シーズ・ライト・オン・タイム
6. ふたりだけのルーム
7. サプライズ
8. スカンジナヴィアン・スカイ
9. オーケストラは何処へ?
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オープニングの「アレンタウン」では、地元の産業がすたれ、疲弊した郊外の新興住宅地のありさまを描き、「プレッシャー」ではストレスにさらされ、メンタル崩壊寸前の現代人に迫り、ヘリコプターの音で始まるイントロが映画『地獄の黙示録』を連想させる「グッドナイト・サイゴン」では、ベトナム戦争で散った兵士たちに思いを寄せるなど、いずれも問題作ばかりです。
アルバム・タイトルの『ナイロン・カーテン』ですが、当時は東西の冷戦下で、「鉄のカーテン」(アイロン・カーテン)の向こうに隔てられた東側の社会主義国家、みたいな言いかたがよくされていました。僕の想像ですが、ビリーは「アイロン」をもじって「ナイロン」と命名したのではないでしょうか。アルバムジャケットのカーテンの模様は、「アレンタウン」に登場するような、郊外に建ち並ぶ家々のシルエットです。
この作品でシリアス路線をきわめたビリーは、次作『イノセントマン』では一転、リラックスした50年代オールディーズ風の楽しいナンバーの数々を聞かせてくれます。芸の幅が広いですね。