ほんとうの優しさ。
取材で視覚障害の方に話をうかがった。 はじめに名刺を渡すべきかどうかちょっと迷ったが、ふつうに受け取ってもらえたので余計なとりこし苦労だった。 ふつうに生活していて途中から視力を失ったという60過ぎのその方は、当初は自宅にこもりきりだったという。いまは視覚障害者のサークルに所属し、月に一度の集まりなどに顔を出しているそうだ。 その方の持ってる携帯電話は視覚障害者用で、名前を登録しておくと着信があったとき「○○さんから電話です」などと音声でしゃべってくれるらしい。うーん、ちょっと欲しいと思った。 いろいろとお話をうかがったのだが、中でも印象に残ったのはその方が 「町で障害者に会ったとき、手を貸してくれるなどする人たちが、ふだんお年寄りや幼児を連れた母親、妊婦さんなどにも優しく接しているだろうか」と疑問を呈していたことで、。 なるほど、ほんとうに優しい人だったら、障害者だけでなく誰にでも優しく接するだろう。「優しい人」になりたいときだけ、優しくなるんじゃダメなんだよね。 「見えないことの不便さは、健常者には説明してもなかなか理解してもらえず、その点おなじ視覚障害者どうしだと多くを説明しなくても話が通じやすい」ともその人は言っていた。なので取材のあと雑談まじりに 「僕も去年、網膜剥離で入院したんですよー」などと話して少し打ち解けようと試みた。網膜剥離がとんでもないところで役に立った。 実は現在コンタクトレンズを片方なくしていて、もう片方も洗浄をサボってるので汚れててあまりよく見えないということは、ちょっと言いだしにくかった…。 |