クサイ復活。
80年代、もっとも忌み嫌われた言葉のひとつに「クサイ」があったと思う。
「クサイ芝居」という言葉はすでにおなじみだが、
身ぶり手ぶりが大げさでわざとらしいという外面的な意味はもちろん
思いや感情をストレートに表現することも「クサイ」とされ嫌悪された。
その流れを決定的にしたのは、当時放映された大映テレビ制作の『スチュワーデス物語』であろう。
堀ちえみのオーバーアクションが別の意味合いでウケたこのドラマは、
クサいものの代名詞、クサイものの象徴、クササの御神体として語り草になった。
時が流れて約30年後のいま、大衆の人気を得ているテレビドラマ、映画、小説、マンガなどは
かつての基準からいえばそのほとんどが「クサイもの」として一蹴されてしまうに違いない。
あの尾崎豊の歌だって、彼がリアルタイムで活動していた頃は
「メッセージがクサい」と抵抗感を示したり失笑する者もけして少なくはなかった。
それがいまでは若者のヒーローだ。世の中、変われば変わるもんだ。
「カノッサの屈辱」風になってしまったこの文、次回に続きます。