ストレンジャー・イン・レトロ喫茶
移動の多い仕事をしているので、電車の乗り継ぎや予定より少し早めに目的地に着いたときなどに、よく喫茶店やファーストフードの店に入る。
大手チェーンの店はどこも同じようなつくりで、さすがに少し飽きたので、この頃は意識して地元の個人経営ぽい店を選んでいる。
初めて訪れた土地では、どんな個性的なお店が見つかるか、いつも少しわくわくする。
今日は都内某区の私鉄沿線の駅に降り立った。
ちょうどお昼が近かったので、食べる場所を探そうと思い、改札を出てすぐ正面にあるドトールへ入ろうとしたが、店内はほぼ満席。
他のところを探すつもりでずっと歩いてたら、踏切をわたっていつの間にか駅の反対側まで行ってしまった。
こっちのほうはドトールのあったあたりと比べると、むかしからの商店街という感じだ。
「コーヒー・食事」というちょっといなたい感じの看板を出してる店を発見。
ちょっとレトロチックでドトールなんかよりよっぽど味があるじゃないか。思わず気をそそられて扉をあけた。
店内にはわりと年配のお客さん数名。定年退職後みたいな男性や、趣味の稽古ごとの帰りらしいご婦人方。
服装などから、ひとめでこのへんに住んでる人たちだとわかる。あとから入ってきた客に「こんにちは」などとあいさつしている。どうやらみなさん常連で知り合い同士のようだ。
そんな内輪的な雰囲気の中へ、一人だけよそ者がまぎれこんだ形になってしまった。
少し長居してPCでも広げようと思ってたがちょっとそれもためらわれる感じだ。そそくさとランチセットをたいらげ店をあとにした。
その土地に古くからあるカフェとかには、どうしても過剰な思い入れを抱いてしまう。だけどそれはあくまでこちらの一方的な感情だ。
こっちには非日常であっても、お店にしてみればたんなる日常に過ぎないんだからね。
よそ者が安住できる場所はなかなかないなーと思いつつ、あちこちの街でいやしのスポットを探しております。