名ばかり市民。
駅前が再開発された。
それまで立ちはだかっていた幽霊ビルみたいな廃墟が撤去され、 だだっぴろいだけで何もないロータリーに変わった。 コンビニ一軒あるわけじゃなし、かえってとんでもなく殺風景な空間に変貌してしまった感じだ。 しかもこのロータリーにつながる新しい道路が建設されていたのだが、 どうしても立ち退かない家が一軒あったようで、道路はロータリーの手前まで来てその家に「通せんぼう」され、ぷつりと途切れてしまっている。 多分この先何年もこの状態のままだろう。何のために造った道路だ? やりっぱなし感いっぱい、行政の怠慢を感じさせる。 僕の地元は数年前、隣の●●市に組み込まれるまで、なんたら郡の××町という非常にマイナーな地域だった。 地元以外で飲み会して「どこ住んでるの? 」とか聞かれると、 「××町」と答えても相手がピンとこないので、 「●●市のほう」などと答えていた。 平成の大合併でめでたく、嘘も隠れもない●●市民となれたわけだが、 かくべつ自分の周辺が大きく変化したわけでもない。 むしろ●●市の中心部から大きく離れたこの地域は、 「市のはずれ」というイメージが強くなってしまった。 ××町だった頃は、多少さびれた駅前だって「ここが町の中心だ」と思えたのに。 皮肉なことにむしろ合併後のほうが「自分は●●市民ではなく旧××町民なのだ」という意識が高まってしまっている。 海外に暮らすようになった日本人が、かえって日本人としてのアイデンティティに目覚めてしまうようなものだろうか。 ●●市になってから唯一よかったのは住所が短くなって、記入するのがラクになったことくらいかな。以前は「なんたら郡」て書くだけで腱鞘炎になりそうだったもん。 ちなみに地元のマックは今でも「マクドナルド××町店」のままだ。旧態依然というか、やる気が感じられないというか。まあこの名称の方が実情に促しているけど。 |