blog-chronicle〈ブロニクル〉

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死ぬまでロケンロール!とロッカーたちは言うけれど。~西田浩『ロックと共に年をとる』

若者音楽の代表選手だったロックも、1950年代の誕生からかるく半世紀。

 

ニューリリースされたCDを買ったりコンサートに出かける50,60代が普通にいて、もはや若者のための音楽とは言えなくなってるわけです。

 

昔のオトナたちはロックなんか若いうちだけのものでトシをとれば演歌がよくなるんだみたいなことを言ってたもんです。ま、ロックでも演歌でも好きなものを聞けばいいわけなんですが…。

 

聴く方も年をとったけど、それはやってる方も同じ。ロックミュージシャンというと若死にのイメージだけど、(残念ながら)長生きしちゃったロッカーは60間近になったいまでもステージで腰を振りながらラブソングを歌っている。その姿に同世代の人間たちが拍手や歓声をおくる…そんな光景を誰が想像したでしょう(笑)。

 

本書『ロックと共に年をとる』(新潮新書)の著者西田浩氏は学生時代からロックにハマり、新聞記者となって長年文化欄を担当。仕事で日常的にコンサートへ足を運び、来日ミュージシャンのインタビューも数多くこなしてきた方です。年齢的には私と同じくらい。

 

不良の象徴だったロックがしだいに人気を獲得し主流となってきたところへ、ふってわいたパンク・ムーブメントでふたたび反抗心を取り戻し、MTV時代の80年代にはロックもひたすらオシャレを追求、90年代に隆盛したグランジが影をひそめたあとは化石と化していたオジさんロッカーが復活する…。筆者がウォッチングしてきたロックの歴史は自分にも手に取るようにイメージできます。

 

筆者が大物アーティストに取材したウラ話も満載で、仕事をはなれ、いちロックファンとしての素顔がのぞけ、読んでるほうもニヤリとしてしまいます。いいなー業界人。

 

本書が指摘するように、解散したバンドのリユニオンなんてかつては考えられなかった。昔の名前でニューアルバムを出して世界ツアーを組んで日本にも来るとなれば青春時代ロックにハマっていた層が動くのも当然です。若いころよりお金もあるし。ない人もいるか(笑)。

 

不良の音楽だったはずのロックがキバを抜かれ、皆から愛されるエンターティメントのひとつに成り下がる傾向には一抹の疑問も感じますが、好きだったアーティストが見られるとなれば嬉しいもの。

 

僕も10代の頃から聴き続けていたフェイバリットのミュージシャンたちのライブに、ようやく最近になって足を運ぶようになりました。ビリー・ジョエルジャクソン・ブラウンイーグルスなど。若いころはマメにコンサートへ通える経済力もなかったし、いま見とかないと、もう見れないかもしれないし(笑)。会場も以前のような不良の集まりっぽい殺ばつとした雰囲気はなく、もはやすっかり大人のための娯楽の場です。

 

まさに時代は変わる…。

 



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