blog-chronicle〈ブロニクル〉

あちこちのブログ、HPに書きちらかしたエントリを一本化。

アフターダークの奇譚。

先日ひどく疲れきっていたのか

やけに早い時間に寝入ってしまい、

夜更けに真っ暗な部屋でこつ然と目がさめた。

それほど長い時間眠ったわけではないが、

非常に熟睡したという感じがあった。

そのせいか目ざめたとき、なんだか全身の五感が

まだ世の中のことなど何も知らなかった子どもの頃の感覚に

戻っているような気分になった。

これまで自分の生きてきた時間が地層をなしているとしたら

それをどんどん掘り進んでいって、

最古層近くまでたどり着いてしまったような感じ。

その感覚で、あらためて身のまわりを眺めまわしてみると、

自分はなんと変わり果てた場所へ来てしまったんだろうと、がく然となった。

いま自分の周囲に山と積まれた本やCD、DVD、

パソコンやFAX付きの電話から、地デジTVやCDラジカセといった機器。

それらの大部分は比較的最近所有したもの、子どもの頃には存在しなかったものばかりだ。

さらに言えばそのPCやFAXでつながっている仕事や人間関係、

TVなどをとおして知る社会の出来事なども、

子ども時代の自分にはまったく無縁なものだったのではないかと思いあたった。

起きぬけの、全く「素」の一人の人間に戻ったとき、

現在の暮らしで本当に必要なものは

ほとんどないのだなと実感した。

徐々に五感が「現在の自分」へと戻っていき

妙な感覚は消失してしまったが

たまにこんな経験をするのも、おのれの存在の根本に触れ

この日常がいかに自分にとって不必要な物事に満ちているか

あらためて認識するいいきっかけになる。

このエントリーのタイトルは村上春樹の小説からいただいているが

村上作品にも主人公が地下の洞窟(トンネルだっけ?)を進んでいったり

深い穴に落っこったりというシチュエーションがよく登場する。

魂の古層まで掘り進むことの大切さを、作家も訴えかけているのかもね。

 

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