blog-chronicle〈ブロニクル〉

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(ムダに)大きいおうち

少し広めの家に住んでいる(すいません)。

べつに大豪邸というわけではなく、家族3人で住むにはやや広いという程度だ。

僕の父が30年以上前に建てた家で、完成と同時に僕ら一家は現在の地に移り住んできた。僕が小学生の頃の話だ。それから月日は流れ、妹は結婚して出ていき、僕のほうは結婚することもなく、住んでいる人間の数は減った。

現在、家の中で日常的に使っているのは居間、台所など、全体からすればせいぜい半分以下というところだ。とくに寒い冬場は暖房がきいた居間にいることが多く、他の部屋を使うことはほとんどない。ムダに広くてもなんだかなーという感じだ。

特に個人的に不要に思えるのは、家の中心部分を占める、全体の1/3にあたるスペースだ。

僕が皮肉をこめて「ホール」と呼んでいるこの空間は、だいたい12畳ぐらいはありそうなのだが、現在のところ部屋を移動するときだけ利用する、たんなる廊下でしかない。やたら広すぎる廊下。

うちの両親はインテリア的なことにはほとんど関心がなく、ここに何か置いてみようとか考えもしない。家の中心部が非常にがらんとした空間になってしまっている。あまりに殺風景なので、僕の書棚を置いたりしているが「家の中が本だらけになる」と親父やオフクロには不評だ。


以前ここには妹が小さいころ弾いていたアップライトのピアノがあり、それほど無駄なスペースという印象はなかった。

妹も成長してピアノをやめてしまい、やがて嫁に出ていくと、弾く人もないピアノは処分され、あとにはもぬけの殻のような空間が残った。

いま思うと親父はこの家を建てるとき、妹のピアノを置くことだけが目的で、このだだっぴろい「ホール」をつくったのではないか。東京の狭い家ではとてもピアノなんか置けなかったから。

聴くのは昔の演歌ぐらいで、とても音楽に造詣が深いとはいえないうちの親父だが、「娘の弾くピアノが流れる我が家」みたいな夢を描いてたんだろうか。ま、それはそれでいいと思うけど。

ピアノの件に限らず、将来子どもが出て行って年老いた夫婦だけになったときのことまで考えに入れて、親父はこのムダに広い家を建てたのだろうか。はなはだ疑問だ。

家があるんだからぜーたく言ってんじゃねーよ、とツッコまれそうだが、このさき家族がひとり減りふたり減りしていくわけで、どうすればいいんだろう、この大きなおうち。相続税だってバカにならないし。オレひとりでは広すぎる。

 

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