午前十時の映画祭『ジョーズ』
長らくヤフーブログ上で映画についてポツポツ書いてましたが、
年内のヤフブロサービス終了にともない、こちらへ移転の準備を始めました。
過去ログもおいおい持ってきますが、リアルタイムで観た作品についても書いていきます。
あ、それからほとんど旧作ばかり紹介するので、ふつーにネタバレありです。気になる人はお読みにならないことをおすすめします。
タイトルのR-1は令和元年を意味してますが深い意味はありません。
それでは令和に入って最初に劇場で観た作品を紹介しましょう。いわずと知れたS.スピルバーグの出世作『ジョーズ』です。
旧作好きにはうれしい「午前十時の映画祭」、第一弾の『未知との遭遇』に続き、同じスピルバーグの『ジョーズ』が登場。
ガキンチョだった自分の心をとらえた大ヒット作ですが、残念ながら劇場で観る機会はありませんでした。
40年以上前の作品だけど、いやー、面白い作品に新しいも古いも、ないね。
映画って観るたびに新しい発見があったり、見方が変わってくるものだけど、
『ジョーズ』は大人になってから観ると、サメ退治のアクションよりも舞台となる街のディテールのほうがより興味深かった。
人食い鮫が出没する島はいかにものどか。ロイ・シャイダー演じる地元の警察署長は仕事ぶりものんびりした感じで、街を歩くと顔見知りの住民たちが気軽に話しかけてくる。
随所にユーモラスな描写があふれ、小さな街とそこで暮らす人々の生活を浮かび上がらせる。
映画の最初のほうで、大勢の海水浴客たちの前で子どもが××されるシーンが登場しますが、いまだったらNGかもですね。それじゃホラー映画なんか作れないって話ですが。
しかしこの映画、あらためて見ると人間ドラマの厚みがなみのショッカー映画とぜんぜんちがうわ。思ってた以上にサメがなかなか現れないんだが、ちっともそれが気にならない。
そういう「じらし」とか、サメ登場かと思ったら違ったーみたいな「ハズし」のテクニックも、スピルバーグはデビュー当時から長けてます。
また、ピーター・ベンチリー(この映画にもインタビュアー役で出演)の原作は、途中で主人公の奥さんの不倫話に大きく脱線し、映画と別の意味でサメがなかなか出てこないことで有名ですが(笑)、
スピルバーグはこのまだるっこしいハーレクイン的エピソードをばっさりカット。アクションに徹したのもヒットの一因になったようです。
後半、サメ退治の仲間がようやく顔を合わせますが、これまた三者三様。
サメへの怨念に満ちた叩き上げのオヤジ(ロバート・ショー)と最新のマシンを駆使するイマ風のサメオタッキーな海洋学者(リチャード・ドレイファス)。
たたき上げオヤジは当然サメオタクのテクノロジーなんかバカにしてて、対照的な二人はしばしばぶつかりあいますが、そこに穏健派の主人公が割って入るみたいな。チームプレーも絶妙です。
この主人公、サメ退治のときはまったくのデクノボーで、何もせずにただ逃げまわってるようにしか見えないのですが、実はサメへの恐怖を映画を観ているお客に成り代わって表現してる、重要なポジションともいえます。
一見ヤサ男で弱々しいロイ・シャイダーは、最近およそ40年ぶりにリバイバル公開された『恐怖の報酬・完全版』でも主役を張っていました。危険な爆薬をトラックで運ぶ荒っぽい話で、彼は観客に先立ってスリルを増幅させるのに最適なキャラでした。
というわけで名作に再会できる「午前十時の映画祭」、名画座が姿を消しつつある現在ではたいへんにありがたい企画です。
シリーズのオープニングを飾った『未知との遭遇』、第2弾の『ジョーズ』に続き、次回は『E.T.』とスピルバーグ3連発です。自宅のDVDではもの足りないみなさん、映画館へ行こう!